自営業社会が崩壊してサラリーマン社会になったことは、労働の近代化につながったが、同時に弱くもなったということだろう。もうひとつ昭和恐慌時に起こった出来事は、新卒採用の抑制であった。当時の大卒者はエリートであり、財閥系企業などの一部の大企業でしか新卒採用は行っていなかった。しかしそのエリートたちが、3人に1人しか職を得られないという事態に直面した。小津安二郎監督の『大学は出だけれど』という映画は、このような背景で生まれたものだった。
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それならば、と新卒採用というエリート採用をしたことがない企業がこぞって新卒を採用することになり、新しい領域に新卒者が流れることになった。大卒就職難は、結果として、いままで新卒者を採用したことがない企業にも新卒採用を広く浸透させることになった。これが日本の新卒一括採用という慣行をつくりだすきっかけとなったのである。